土曜日

77●紫根で布を染める。簡単レシピ♪

【紫根液を作る】

染める布の20%くらいの紫根を、
紫根が十分に浸るくらいのエタノール(エチルアルコール)に漬ける。
エタノールは95~98%の物でも、消毒用アルコール(イソプロパノール入りでも可)でも良い。
日本酒などのお酒でも良いと思うが試したことはないので・・・・・・
普通は一晩でかなり濃い抽出液が取れるが2~3日置いておいたほうがよい。
ただし光は避けて暗所にて保管のこと!

【布を下染めする】

木綿でも絹でも良い。
まず台所用中性洗剤で布を軽く洗い、汚れや油分を取り去る。
布が十分浸るくらいの量の約60℃くらいのお湯に「生ミョウバン」を
布の量の6%くらいの量を加えて、よく溶かす。
布をミョウバン液に漬けて、ムラにならないように
ゆっくりでも良いから約10分(絹は5分)ほどかき混ぜる。
布をミョウバン液から取り出し、冷水で普通に洗う。(洗剤は不要)

【布を染める】

布が十分に浸る程度の水に先ほどの紫根抽出液を加え約60~70℃にする。
布をすばやく染料液に漬け、ムラにならないように最初は良くかき混ぜ、
だんだんとゆっくりとペースを落としていく。
10分(絹は5分)ほどかき混ぜたら、
布が液から出ないように落し蓋などをして室温に冷えるまで放置。
その間時々混ぜてやるほうが良い。

【紫色を出す】

そのままでも良い色(赤紫色)だが、
青紫色にするには、炭酸カリなどを使えばよいが
そんなものは普通の家にはない。
乱暴な話し、アルカリであればよいということで、
重曹(炭酸水素ナトリウム)を使う。
ぬるま湯(冷水でも良い)に重曹を適量入れ
紫根染め布を漬ける。
およそすぐに色が変わり始める。
あとは水洗して
光が当たらないところで乾燥させる。

【注意】
分量や時間はおおよそであるので、状態を見ながら適当にすればよろしい。
手順さえ間違いなければ、何とかなるものである。 o((*^ ▽^*))o
あわてず騒がず落ち着いた心で染め上げるべし ♪

抽出で使った紫根は、まだ色素が残っているので
エタノールと紫根を足して、ビンごと冷暗所で保管しておけば、
いつでも使える。
石鹸の材料にも使える。(アルコールは飛ばして)

紫根染めは日光に弱いので、スカーフなどを染めたときは
夜間外出用にしたほうがよろしい。

(11/14に逢った皆様へのレシピです ♪)
とりあえず第一弾。

76■松煙(炭)で緑茶の色の石鹸


(画像の右は色の比較のための緑茶) 

松煙(しょうえん)とは、読んで字のごとくで、松を燃やしたときに出る黒いススを集めたものである。このススは松材が完全燃焼しているのではないので、松特有の松脂がタールとして残っているために、色々と面白いことをしてくれる。
真っ黒なススなのに緑茶色の石鹸ができるのはこのためである。

写真の石鹸は、廃油を使ったもので、
【レシピ】
▼廃油(主にオリーブ油) 70%
▼ココナツ油  15%
▼レッドパーム油  15%
▼松煙(オイルの0.2%くらい)

松煙は、濃さを見ながら目分量で入れたので、もしかしたら、もっと少なかったかもしれない。

【一般的なレシピ】
カロチーノプレミアムオイルを多く使う。
混合オイルに松煙を少しづつ加えながら、黄色がまだまだ強いくらいにしておく。
そのくらい松煙を少なめにしておいてちょうど良いくらいの色目になる。
後は苛性ソーダ液を加えて普通に作るだけ。
作りたてはかなり黒っぽい色をしているが、
時間がたつほどに黒みが薄れ緑っぽくなる。
数ヶ月もすればやや茶色っぽくなるが、まだ緑色を保っている。
退色スポット(石鹸の酸化による円形の色落ち)が出ると、
その部分は青みがかったグレーになる。

75■pHの値について

「さて問題です。pH12.0の石鹸液をpH11.0にするには、水で何倍に薄めればよいでしょうか?」
答え:10倍
2倍に薄めるとか少し水を増やすとか思っている人がいますが、それは誤りです。pHの値は対数になっている(水素イオン濃度の逆数)からで、pHの値を一つ中性(pH7)に近づけるには10倍に薄めることになります。だからpHを2下げるのには100倍に薄める必要があります。
なぜこんなことを書くのかと言うと、石鹸のpHを測るとき、石鹸を泡立てて、pH試験紙を直接に、その泡に漬けて測る方が多いのですが、泡の立て方によって石鹸液の濃度が変わるのでpHを正確に測れないと思われる方もいるからなんです。実際にはその程度の誤差はあまり影響しないと言うことを言いたかったのです。
その程度の誤差と言うのは、石鹸液が泡(石鹸膜)を作るときの石鹸液濃度はある狭い範囲内に限られるからで、それにpH試験紙での測定自体が大きな誤差を考慮しなくてはならないので、その程度の差は問題になりにくいのです。泡にpH試験紙を直接漬けて測る方法は、理にかなった方法なんです。
しかし・・・しかし・・・しかし・・・
実際は10倍ではないのですが・・・・
それは「緩衝(かんしょう)」と言う作用のためです。
例えば苛性ソーダが空気中の二酸化炭素と反応してできる炭酸ナトリウム(ソーダ灰)には、苛性ソーダ溶液のpHの変化をより小さく抑える作用を持っているからで、苛性ソーダの量が多少変化しても、pHがそれほど変化しないようにソーダ灰が調整役になるのです。これを緩衝液と言い、塩類に見られる特徴の一つで、石鹸液もその作用がある程度あると思われます。
それで10倍に薄めても実際はpHが1下がることは無いと考えられるのです。

74■石鹸のpHの測り方

ロール型pH試験紙で使いやすいのはpH1~11までしか測れない万能タイプの方で、pH14まで測れるオールレンジタイプのものは、実は数値が高い領域は誤差も大きく見にくいのである。買うのであれば、ユニバーサルの万能タイプをお勧めする。
このロールタイプの試験紙は必要な分だけ切って使うので経済的ではあるが、汚れた手で短く千切っては指の水分に汚染されるので、濡れた指では触らないこと。できればピンセットでつかんで千切るか、少し長い目に切って使うようにするほうが良い。

pH試験紙での測定で覚えておいてもらいたいのは、
・元の石鹸液がいつもほぼ同じ濃度であること。
・試験紙の反応(呈色)はおよそである。
・試験紙の呈色の判別は見る人によって差がある
・試験紙は反応した直後の色を見ること。時間が経ってからの色は見ないように。
・いつも同じ方法同じ環境で測定する。

さて以上のことを踏まえて、私が提案する方法は以下のとおりである。

▼石鹸の表面はソーダ灰などがあったりして成分が均質ではないので、少し表面を削ったその下の部分を1g採取する。
(石鹸を1gを計る方法)

    ○ 一円玉(1g)           ■ 石鹸片
   --------------------------------------------   ←10~15cmの定規
                △   支点となる先の尖った棒

▼1gの石鹸を100mlのぬるま湯に泡立てないように溶かす。
▼pH試験紙を切り取り、その石鹸液に浸してすぐに取り出して試験紙ケースのラベルの色見本に合わせてみる。
ーーーー以上ーーーー
PS:簡易法:石鹸の表面に水をたらして泡立てて測る方法が最も簡単な方法ではあるが、この場合でも石鹸表面を取り除いてから行った方がより正確に測れる。

73■pH試験紙

古い人間はこれを「ペーハー」と読む。今学校では「ピーエイチ」と読むのだそうな。でも昔でも「pH」は「ピーエイチ」だったような気がする。pH計を「ペーハー計」と読んでいたから、慣用的に「pH」を「ペーハー」と読んでいたに過ぎないのかもしれない。

さて石鹸のpHの測り方であるが、一般にはpH試験紙を用いるのが至便である。普通薬局や店舗のコーナーではロールの万能タイプのものしか売られていない。たまにオールレンジタイプのものもあるようだ。万能タイプのpHは、1~11で、オールレンジ(全域)タイプは、0~14まで測れるようになっている。ただし、リトマス試験紙は別であるが。
pHは中性がpH7で、それより小さい数字が酸性側、大きい数字がアルカリ性側で、pH7<12くらいを弱アルカリ性と読んでいる。苛性ソーダ液は強アルカリ性なので石鹸用の濃度では最大値のpH14を示す。石鹸はpH8~11くらいの弱アルカリ性のものが普通である。
石鹸を作るときに、作り始めのpHは14で、それが次第に数値が小さくなってpH7に近づいてくるが、中性にはならない。もちろん酸性にもならない。
そのため石鹸のpHを測れば石鹸のおよその熟成度が分かる。

【参考】
ロール型pH試験紙 
http://www.advantec.co.jp/japanese/hinran/tanpin/phpaper_1.jpg

72■溶ける溶けない(二酸化チタン)

よく溶けますかと言う質問が来る。実は説明が非常に難しいので場合によって説明を変えているのが現状だ。
溶けるとは、例えば「食塩(NaCl)」を水に入れると、(Na+)と(Cl-)に分かれて水のイオンの中に紛れ込んでしまい、そのまま放って置いても普通の状態では食塩の沈殿ができたりはしない。
しかし、例えば「二酸化チタン(TiO2)」の場合、水に入れると、水は白く濁って溶けたように見える。この状態は二酸化チタンが(+ -)のイオンに分かれて水に紛れ混んでいるのではなく、(TiO2)のまま水の中でバラバラになっているだけで、これを「分散」と言う。この場合、時間が経てばやがて二酸化チタンの沈殿が底に溜まることになる。この状態を「溶けない」と言う。
油のように水を弾くか弾かないかと言うことではないので、二酸化チタンのように、水に濡れやすいものでも、水に溶けないものも多くある。この点を勘違いしやすい。
でも有機物(糖やタンパクや色素など)の場合はかなり複雑で、溶けているようで溶けていない、条件が少し変われば溶けないものが溶けるようになる。などなど。

71■石鹸の内側の色が外側と違うのはなぜ?

石鹸をざくっと切ったときに、内側が羊羹のようなまったりとした色になっているのはなぜ?この解釈には、よくジェル化した部分としていない部分の色の差と言われるのだが、確かにそういう状態のときもあるが、毎回、必ずと言って良いほど見られるこの現象は、単に石鹸の中の水分が飛んだための変色である。
水分が石鹸分子間を十分満たしているときには、光の散乱があまり起こらないため半透明に見え、水分が飛んで石鹸分子間に空気の層ができると光を乱反射させて、より白っぽい色に見えるのである。
またこれは石鹸の酸化による変色でもない。乾燥の程度の目安と思っていれば良いのだ。

70■尿素と尿酸

尿素と言うと酸素や水素やヨウ素みたいな単一の物のような感じを受けますが、元素の周期律表には「尿素」と言う元素はありません。CO(NH2)2 と言うのが尿素なんです。
尿素は「ウレア」と言うので、ウレタン樹脂と言うのは尿素樹脂と言うことになります。そして弱アルカリ性です。尿素は酸やアルカリや熱で分解してアンモニアを作りますので臭いです。
尿素はタンパクと反応して変性させるため、その水溶液には肌をスベスベと滑らかにする働きがあるため、美肌水などの化粧水の材料に使われます。
尿酸はジウレイドといって尿素の水素をアシル基に置換したものです。アシル基って、R-COOHのOHを取ったものだから脂肪酸も反応するのかな?もし反応するのなら、石けんを作るときに尿素を入れると、幾分かは尿酸ができているのかもしれない。

69■ホウ酸とほう砂とホウ素

ホウ素の元素記号は「B」です。
ホウ素は酸素「O2」や水素「H2」のように単独で分子を作りません。
ホウ素が酸になったものに「ホウ酸」があります。
ただ単にホウ酸と言えば「オルトホウ酸(H3BO3)」のことを言います。
他に「メタホウ酸(HBO2)」「次ホウ酸(H4B2O4)」などもあります。
ホウ酸は10℃の水では100gの水に3.65gしか溶けませんが、温度が高くなると溶ける量が急に多くなります。そしてその水溶液は弱酸で、温和な消毒薬になります。
このホウ酸にナトリウムがくっつくと「ほう砂」になります(そんな単純じゃないんですが)。ちなみに「ほう砂」は「ほうしゃ」と読みます。Na2B4O7・10H2O です。
ホウ酸が弱酸性であるのに対して、ほう砂は強アルカリなので間違わないようにしなければなりません。

68■キサンタンガムとザンサンガム

Xanthan Gum と書くこの物質は「多糖類」で増粘剤として使われている。
この読みなのであるが、ドイツ語読みだとキサンタンで英語読みだとザンサンになるのかな?
昔洋画で「ザナドゥ」と言うのがあった。アメリカ映画である。その少し前に「キサナドゥの伝説」と言う歌があった。GSのジャガーズがアメリカの曲をカバーしたものだが、どうもこの曲を訳した人がドイツ語読みで訳したようで、それでキサナドゥの伝説と言う邦名になったらしい。
さてXanthanだが古い文献を見るとキサンタンで新しい文献ではザンサンが多いのだが、これは日本の化学の世界が、ドイツ主流からアメリカ主流に変わっていったから、物質の呼び方もアメリカ流になってきたことで分かるが、製品などの末端での呼び名はキサンタンのうほうが圧倒的に多い。たおさんもアメリカ在住なのにキサンタンガムと言うドイツ語の方の名を使っている。
XanthanGumが化粧品などに多く使われることから、日本語の語感のいい「キサンタン」のほうが使われているのだろうと思う。
なぜこんなことを書くのかと言うとですね、最初キサンタンガムと書いてあるのを見て、何のことか分からなかったのですよ!しばらくしてから・・・「ああ ザンサンガムのことか!」と納得したわけでして。
発音の違いでカタカナに直すと、まるで別の物のように感じてしまうのも困ったものだ。特に私の年代は、ドイツ語読みと英語読みと米語読みとおまけに化学ではラテン語読みとがゴッチャになって使われることがあるので、ほんと・・・混乱します。

67■ゾルとゲルとジェリーとジェル

例えば、油脂と苛性ソーダを混ぜ合わせたときはまだ液はシャブシャブの状態で、水の層の中に油脂や反応途中のものや石鹸やらが分散しています。この状態を「ゾル」と言います。
グルグルしているうちに液がだんだん粘りが出てきて、これを「トレースが出る」と言いますが、この状態のことを「ゲル」と言います。
固まってから保温しているときに、発熱してきて石けん生地が軟らかく透明になってきますが、このときの状態を「ジェル化」すると言ってます。これも「ゲル」なんです。
ジェルとゲル、jellは動詞gelは名詞、ジェリーは「ジェル化した物」で製品名でもあり、ゲルのこと。

66■水道水を精製水並みにする方法

天然の色素を使うときには精製水を使わなくても水道水で同じ効果になります。
多くの植物の色素は、水溶液中ではマイナスイオンになっているのでカルシウムイオンやマグネシウムイオンや鉄イオンなどの金属イオン(プラスイオン)と結合し「顔料化」してしまいます。
それをろ過すれば、水道水中の金属イオンを取り除くことが出来ます。吸着法による精製水の製法と同じことです。
またそのまま使っても金属は顔料化されているため金属石けんカスにはなりません。
そのため私は精製水を使ったことがありません。
ついでに、水道水中の塩素は煮沸で飛んでしまっています。これもクリアーしています。

65■硬水と軟水

水に溶けているミネラルの種類と量で区別しています。
100mlの水の溶けているカルシウムイオンとマグネシウムイオンを、それと等価の炭酸カルシウムの量(mg)に換算して、それを硬度としています。
この数値が20以上の水を硬水、10以下の水を軟水と呼んでいます。

石けんを作るときの水は、硬水だとカルシウムやマグネシウムが反応して石けんカスを作りケン化を阻害してしまうので、軟水の方が良いのです。
ちなみにミネラルウォーターはミネラル(カルシウムやマグネシウム)が多いので石けん作りには向かないとされていますが、多くのミネラルウォーターは硬度10以下の軟水なんです。もっともあえてミネラルウォーターを使うメリットは無いように思えますが。

64■バレンタインチョコ色石けん

ココアパウダーや溶かしたチョコレートを入れる方法やインスタントコーヒーを入れるなどいろいろな方法があるのですが、臭いがいやな人には「丹殻(タンガラ)」がお薦め。
タンガラはマングローブの木の木部を粉末にしたもので、染色では赤みの茶色やこげ茶色を染めるのに使います。
この粉末の成分は、タンニン(色素)と繊維と糖分などで、石けんを作るときには粉末をそのままオイルに混ぜ込んで使うことが出来ます。さらに備長炭粉末をほんの少し加えればもっとチョコレート色に近づきます。これを使うと簡単でいやな臭いもしないので良いですよ。

63■オイルのケン化価のバラつき

市販されているオイルの成分組成は、品種・産地・収穫時期・精製方法そして保管期間や保管状況によって変わってきます。さらにメーカーでのブレンドも考慮しなければならないでしょう。
所詮、天然のものに均一性を求めること自体が無理なことですので、ある程度の幅を持ってケン化価を見る必要があります。
特に私達が良く利用している「アルカリ計算機」の元データの信頼度は?はっきり言って元の文献のデータ自体がいつのもので、どこのものかを知らないし、知ったところで、今自分が使っているオイルがそのデータに近いものなのかどうかも分からないのです。
ケン化価139とあっても、文献によっては5%くらいのズレは普通にあるようです。そのような状況でオイルを数グラム多く入れたの少なかったのとか、苛性ソーダをグラム以下まで量る必要などまったくないし、天然物を使ったものは、ゆとりを持って扱うべしと言うことです。
これを工業的には「ゆらぎ」とも言っています。
正確でないものを正確に量っても仕方ないと言うことです。

62■エチルアルコールでトレースが早くなるのは

エチルアルコール(エタノール)は、タンパクを変性させる作用がある。
つまり硬くしてしまう性質があるんです。
それで卵黄や豆乳などのタンパクを入れた石けんは、
OPにエタノール希釈の香料を入れたり、お酒を入れたりすると、
急速に石けん生地が固まりだすのです。
これが大きな理由です。
小さな理由は他にいっぱいあります。

61■オーガニックの意味

もともと「オーガニック」と言うのは、穀物や野菜の生産者や羊などの牧畜家などが、
農薬などの薬剤の散布で、自分達の住環境が汚染されて、
自分達の健康を害することがないように、
それら有害なものを使用しない運動でありました。

そのためオーガニックの基準は、その運動の主体ごとに勝手に決められていて、
かなり厳しいニュージーランドから甘いアメリカやオーストラリア、
信じてよいのかインド!など、
その国の中でも主体の団体ごとで扱いが違っているのです。

もし厳密にオーガニックの精神を加工する段階にも延長して製品を作るなら、
今ある工場や制度の下ではかなり困難なことになるんです。

こんなこともありました。オーガニックウールを輸入したときに、
検疫で殺虫ガス漬けに会い、原料が使えなくなったりもしたんです。

また合成樹脂や合成洗剤などを使用しているラインをそのまま通すことも出来ませんし、
他の塵芥が混入することも避けなければオーガニック製品は作れません。

また繊維はオーガニックでも糸はポリエステルであったり
部品がプラスチックであったり、化学染料であったり、柔軟剤処理されたり、
結局はオーガニックは宣伝文句だけで
その精神は製品には反映されていないものが多く出回ることになるのです。

オーガニックの歯磨きを見ました。成分は???どこがオーガニック?
今世の中に出ているオーガニック加工品は、
使っている原料の一部がオーガニックだと言うものが大半で、
そのために高額なお金を払うのはばかばかしい限りです。
オーガニック運動とはそのようなものではないのです。

60■ベントナイト(モンモリロナイト)

おとなしい性質の粘土の代表がカオリンなら、
やんちゃな性質の粘土の代表がベントナイトです。

ベントナイトの最大の特徴は「膨潤性」と言われるもので、
大量の水を吸収して膨れ上がる性質があります。
このベントナイトの主成分が「モンモリロナイト」で、
精製ベントナイトも同じものです。
もうひとつの大きな特徴は、「陽イオン交換性」です。
これはモンモリロナイトがマイナスに帯電していて、
その層の間にナトリウムなどの陽イオンのものを取り込んでいるのですが、
動きが活発なため、他のプラスの金属イオンがやってくると入れ替わってしまうことです。
水道水などに溶かし込んでやると、
マグネシウムや鉄などの金属を取り込んでしまうため石けん作りには良い性質です。
でも大量の水分を取り込むのでその辺は注意して使うことです。

59■カオリンの成分と種類

カオリン粘土は,
シリカ(二酸化ケイ素【SiO2】
アルミナ(酸化アルミニウム【Al2O3】
水、からなっています。

炭素を含んで灰色や褐色のものー「ファイアークレイ」「ボールクレイ」「木節粘土」は腐食した木片や石炭などの炭素を含んでいるために着色しています。
このように産地の地質によってカオリンに含まれる(正確にはカオリナイトに含まれる)不純物によって様々な色のカオリンが産出します。

58■カオリン

カオリンと書けばいかにもコスメ材料のような響きがありますが、単なる粘土です。それも最も粘土らしい粘土で、粘土の代表とも言えるものなのです。
古代は中国江西省の景徳鎮の高嶺から陶器の原料となる良質の白色粘土が採れました。その高嶺粘土が世界的に有名になり、似たような白色粘土を(高嶺⇒なまって「カオリン」)と呼ぶようになっただけです。
コスメ用としては精製して粒子径を細かくして揃えただけのもの以外に、用途に応じて何がしかを添加したものがあるので成分には要注意!

57■糖ーーーデンプン・セルロース

主な部分が炭素と水素で出来ているものを炭化水素類と言います。
グルコース・ペントースなどを「単糖類」と呼び、ショ糖(砂糖)を「二糖類」、それらが多数集まって「デンプン」や「セルロース」が出来ています。
コーンスターチはとうもろこしデンプンですが、このデンプンにもいろいろな種類があり、水に溶けやすいデンプンと溶けにくいデンプンとを分けて、溶けやすいデンプンのみを集めたものが「デキストリン」で、色素成分の抽出で色素をこれに吸着させてパウダー化するときに良く使われています。

ちなみに洗濯糊は、昔は天然デンプンでしたが、今は合成デンプンとポリビニルアルコール(PVA)が使われています。

56■アミノ酸ーーータンパク

アミノ酸は21種類あり、その組み合わせで様々な自然界の生命や有機物が作られています。
このアミノ酸が数個結合したものが「ペプチド」、数十から数百個結合したものが「ポリペプチド」。さらに大きな分子になったものが「タンパク」と呼ばれています。
自然界ではタンパクやアミノ酸などが単独で存在していることはまれで、大概が何か別のものと結合して存在しています。その方が安定しているからなのです。
たとえば糖分と結合しているものは「糖タンパク」または「アミノ糖」などと呼ばれ、色素や金属と結合していることもよくあります。
自然界では有機物は様々なつながりをもって存在しているため、純粋に化学合成されたようなものと違って、同じ名前のもの(種類)でも性質が違ってくることは当然のことになるのです。
それが天然物なのです。