土曜日

75■pHの値について

「さて問題です。pH12.0の石鹸液をpH11.0にするには、水で何倍に薄めればよいでしょうか?」
答え:10倍
2倍に薄めるとか少し水を増やすとか思っている人がいますが、それは誤りです。pHの値は対数になっている(水素イオン濃度の逆数)からで、pHの値を一つ中性(pH7)に近づけるには10倍に薄めることになります。だからpHを2下げるのには100倍に薄める必要があります。
なぜこんなことを書くのかと言うと、石鹸のpHを測るとき、石鹸を泡立てて、pH試験紙を直接に、その泡に漬けて測る方が多いのですが、泡の立て方によって石鹸液の濃度が変わるのでpHを正確に測れないと思われる方もいるからなんです。実際にはその程度の誤差はあまり影響しないと言うことを言いたかったのです。
その程度の誤差と言うのは、石鹸液が泡(石鹸膜)を作るときの石鹸液濃度はある狭い範囲内に限られるからで、それにpH試験紙での測定自体が大きな誤差を考慮しなくてはならないので、その程度の差は問題になりにくいのです。泡にpH試験紙を直接漬けて測る方法は、理にかなった方法なんです。
しかし・・・しかし・・・しかし・・・
実際は10倍ではないのですが・・・・
それは「緩衝(かんしょう)」と言う作用のためです。
例えば苛性ソーダが空気中の二酸化炭素と反応してできる炭酸ナトリウム(ソーダ灰)には、苛性ソーダ溶液のpHの変化をより小さく抑える作用を持っているからで、苛性ソーダの量が多少変化しても、pHがそれほど変化しないようにソーダ灰が調整役になるのです。これを緩衝液と言い、塩類に見られる特徴の一つで、石鹸液もその作用がある程度あると思われます。
それで10倍に薄めても実際はpHが1下がることは無いと考えられるのです。

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