水曜日

アルガンオイル

======【化学で美容と健康を!・ヘルスケミストリー】=========

◆「アルガンオイルでピッカピカ!?」

皆さん、アルガンオイルってご存知ですか?
植物油の一種で、栄養価の高さから食用としては勿論、豊富な有効成分とその非
常に優れた働きで、近年美容オイルとしても注目を集めている天然オイルです。

日本ではまだ認知度が低いですが、食用としては世界の高級レストランで使用さ
れており、美容先進国フランスなどではエステや化粧品などに広く利用されてい
ます。

アルガンオイルは、北アフリカ・モロッコ南西部のサハラ砂漠だけに自生するア
ルガンツリーの種子(仁)から取れます。アルガンツリーはアカテツ科の植物で、
その実の中にある種子から仁を取り出し、すりつぶしてペースト状にしたものに
水を加えて撹拌後放置し、浮いて分離した油分を掬い取って集めたものがアルガ
ンオイルです。

アルガンツリーは大規模栽培がされず、また、このオイルは種子のわずか2%し
かない仁からしか採取できないため、100kgの実からわずか1kgしか取れないとい
う大変貴重なオイルです。

このアルガンオイルは、古くから遊牧民やこの地方に住む人々にとっての生活必
需品として、食用油や火傷やにきびに塗布すると傷跡が残らないといわれ、外用
薬としても用いられてきました。また、女性達の間では、スキンケアやヘアケア
オイルとして何世紀も愛用されてきました。

つまり、1つで内からも外からも使える、非常に優れもののオイルなんです。

■優れたな有効成分

・不飽和脂肪酸
アルガンオイルには一価の不飽和脂肪酸であるオレイン酸が半分近くも含まれて
います。オレイン酸は、血液中の悪玉コレステロールを抑制し、動脈硬化や心臓
病、高血圧を予防する働きがある他、胃酸の分泌のコントロールや、便秘の予防、
解消などの効果もあります。

・豊富な必須脂肪酸
必須脂肪酸は体内で作り出すことができません。アルガンオイルはこの必須脂肪
酸であるリノール酸を30~40%も含んでいます。このリノール酸も血圧やコレス
テロール低下作用があり、血液浄化によいとされています。またリノレン酸など
も含有しています。

・強い抗酸化力
ビタミンEもまた、体内で作ることはできません。アルガンオイルにはオリーブ
オイルの2~3倍のビタミンEが含まれています。ビタミンEには抗酸化作用が
あり、体内での脂質の酸化を防ぎ、過酸化物の生成を抑えます。

老化現象とは生体内膜組織や脂肪酸化のより生成した過酸化脂質の増加が一因で
す。つまり、過酸化物の生成を抑制する働きのあるビタミンEには、肌の血行を
良くし、老化を抑える効果があります。

糖尿病や不妊症、むくみの改善にも効果的であるといわれています。また、ガン
の原因とも言われるフリーラジカルの抑制効果もあります。

・その他
ステロール類やトリテルペン類といった様々な機能成分が含まれていて、にきび
や前立腺肥大等の改善、皮膚の保護、傷の癒合促進など様々な効果が期待できま
す。

また、ビタミンA、Bも豊富に含み、ビタミンEと共に肌を和らげ、乾燥を防ぎ、
細胞の新陳代謝を促進し、肌深く浸透するので、肌の保護・再生作用があります。

このように、アルガンオイルは抗酸化物質が多く含まれるため、酸化に対する安
定性に優れており、べたつかず伸びもよいので食用、外用に適しています。

また、体内で作り出すことのできない成分を豊富に含み、食用又はトリートメン
トなどに用いることで、その成分を少量で効率的に摂取することができるのです。

■アルガンオイルの使い方

・食用として
魚介料理などに用いるのはもとより、オイルの香りもフレッシュで、癖がなく柔
らかでありながらしっかりした風味なので、そのまま食べることもできます。ド
レッシングそのものやデザートのソースとして使うこともでき、しっかりした風
味は少量でも十分味わえます。つまり、結果的に油分の摂取量を減らすことがで
き、健康的な食生活にも繋がりますね。

・外用として
ピュアなものは用途を選ばず、全身のケアに用いることができます。ヘアケアの
場合、少量をそのまま毛先まで塗り十分にしみこせた後シャンプーします。ドラ
イヤーをかける際の保護剤としても効果的です。

フェイスの場合、少量をそのまま塗ればOK。気になる人は洗い流してください。
化粧水や乳液に1、2滴混ぜて使用するのも効果的。しみそばかすを薄め、肌の
乾燥を防ぎます。但し、クレンジングには不向きです。アルガンオイルは肌への
浸透性が高いため、汚れがオイルと一緒に肌にしみこんでしまいます。

ボディにもそのまま塗布してしばらく置き、洗い流すだけでOKです。老人性の
しみを薄くし、妊娠線予防に効果的です。
その他、傷口やにきびの幹部に塗ると薬効を補助する働きがあります。

このように、1つで2つの利用法、それも少量で効果的とはなんとも便利なオイ
ルですね。


以上の記事は、メールマガジン「日本分析化学専門学校〓 くるくる♪週刊化学マガジン 〓VOL.387」に掲載されたものです。
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