金曜日

36■紅花を石けんに

紅花には主に黄色い色素と赤い色素の2種類が含まれています。
黄色い色素は水で簡単に流れ出して取り除けます。
残った赤い色素はアルカリ液で抽出できますが、
このときの色は黄色に変わっています。
この抽出液を酸性液で中和してやると赤い色に戻ります。

布の染色はこのようにしてするのです。
と言うことはアルカリ性の石けんでは赤い色素も黄色になるので
紅花の抽出液は石けんには使えません。

では紅花を直接石けんに放り込むとどうなるかと言うと
、トレースのまったく出ていないシャブシャブの状態では
まだ水分の塊が残っているので
アルカリ性の水に紅花が触れて色が消えます。

でもかなりトレースが出ている状態では、
水分が石鹸などに取り込まれていて、
紅花に直接触れる水分がかなり少なくなっているので
赤い色をなんとか保つことが出来ます。
この状態のときに生地に混ぜ込むようにすれば成功する可能性があります。

ただし紅花の赤い色素のもうひとつの特徴は、
熱に弱いことなんです。
およそ40℃以上になると徐々に退色していきます。
ホットプロセスはもちろんのこと、
ジェル化は厳禁です!

いずれにせよ、ちょっとした操作で色が抜けてしまうのが紅花の赤い色素です。

アルカリ液に触れさせない方法があります。
紅花をよく乾燥させておいてからホホバオイルに漬けます。
十分に濡れたら取り出して、
石鹸生地に埋め込みます。
ホホバオイルは半分が「ろう」ですので、
苛性ソーダ液の影響を受けずに紅花をマスキングしてくれます。

それともしうまく行った場合でも、
熟成は暗い場所にしてください。
紅花の3つ目の特徴が日光で退色しやすいと言うことですので。

紅花は万葉集では、
艶やかで美しいけれども繊細で
すぐに壊れてしまう都の女性たちの代名詞として
歌われているものです。

脆弱さゆえに、
うまく色が出せたら
感慨深いものになることと思います。

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